「夢気球」
(333mm×242mm 水彩紙/2021年制作)
大人になってからの方が、夢は実現しやすくなる。そんな気がします。
それは、社会に出て経験値をつむことで、夢を実現させる方法を、具体的に考えられるようになるからかもしれないですし
大人になって信用ができて、周囲の力をかりやすくなるからかも知れません。
(あるいはもう、大人になるとみんな忙しくて、周囲にバンジー・ジャンプを止めようとする人がいなくなるからかもしれないですが。。)
いろんな理由で、自分のやりたかったことや夢をあきらめる。
そんな経験がある方は、多いと思います。
その経験はいつしか記憶のかたすみに追いやられて
つらいからこそ、その思いをよけいに強く、人は抑圧してしまうんですよね。
意識の表面的上では、過ぎさった過去の季節になって、忘れていきます。
でも一度強く抱いた憧れって、簡単には消えないものだと思うんです。
自分の意識と関係なく、その炎は心の深い場所で燃え続けるんですよね。
だって、人生で何かに強く憧れを抱いたり、自分を変えられてしまうほどの情熱をいだくこと自体、本当にまれな出来事じゃないですか?
昭和の文豪「太宰治」さんの『斜陽』という小説の一節で
「人間は恋と革命のために生れて来たのだ。」という有名なフレーズがありますけど、そういうものだと思うんです。
強烈に憧れをいだいたものって
いわば恋だし革命だし、自分の人生に光を与えてくれるパワフルな力なんだと思うんです。
その反面、ちょっと怖くもあるんですよ。
だって無意識に抑圧してしまった想いが、ずっと解消されずにいることで
人生をハッピーに暮らせなくなってしまう人もいるから。
大人になってから、何をやってもおもしろく感じられなかったり。
自分が自分であることを、実感できなくなってしまったり。
そんな時は時計を巻き戻して、胸の奥にしまっている
自分がこれまで抱いた夢や、やりたかった事を思い出すことが必要な時かも知れません。
自分のためだけに、あの時やってみたかったことをやってみることが、きっと処方箋になるんじゃないかなと思います。
一人旅でも、お店をやることでも、アートでも、歌やダンスでも。
チャレンジして成功できたら、それは素晴らしいことだし、同じ境遇の人の背中をおす力にもなります。
でも結果よりも、むしろチャレンジすること自体に、ずっと大きな効果がある気がします。
人知れず自分の心の中で燃え続けた憧れを、もう一度受けとめること。
自分だけが知っているその課題に向き合った時、やっと自分を縛っていた想いの鎖から解き放たれて、健やかな自分になれるし、次のステージに行ける気がします。
人間って多分、そういう生き物なんですよね。
ひとつひとつ、クリアして行くしかないんだと思います。
めんどくさくて不器用で、そんな自分がいやになっちゃう時もありますけどねー。
でも、機械じゃないから、仕方ないですね。
いつかは誰もが、天に昇ってしまうんですからね。
それまでの地球に滞在できる間、身体はもちろん心も健やかに過ごせるように。
自分の想いを自分で受けとめて、ひとつひとつ解消してあげるってことは、とても大切だと思います。