「草原の昼さがり」
(455mm×380mm キャンバス/2019年制作)
会社員時代の話なんですけど、空調の効いた快適なオフィスの中に
小さなしゃくとり虫が一匹、乱入したことがあったんです。
そのしゃくとり虫は、人間のじゃまをするわけでもなく
ちょっとコミカルな独特の動きで、壁の上の方を移動していただけなんですけど。
でもその姿に気がついた人が「きゃーっ」と声をあげた途端
ちょっとした騒動になっちゃったんですね。
大のオトナたちが集まって
壁の上の方を移動していく、しゃくとり虫を見上げて
ジャンプして落ちて来ないか、きゃーきゃー言いながら固唾を飲んで見守って、、(笑)
動きは独特の威圧感がありますけど
しゃくとり虫の体長って、わずかに4〜5センチメートルくらいなんです。
でもそんな一匹の乱入があるだけで
はるかに大きな身体をしてる大人たちが、てんやわんやになってしまったんです。
結局、そのしゃくとり虫は捕まる事なく
ほどなく、人の目からは見えない場所に姿を消して行きました。
この出来事を体験したときに
大人って、ほんとに自然と隔絶された世界を作っちゃってるんだなーって思い知りました。
もちろん上から目線ではないですよ。
私も十分キャーキャー言ってましたから、、(笑)
「コンクリート・ジャングル」って言葉がありますけど
やっぱりだいぶ不自然な環境を、人間って地球の上に作り上げて、そこにこもってしまっているんだと思います。
でも人間も自然の一部だから、その環境がストレスになっている面も否めなくて。
知らず知らずの間に、頭でっかちになってしまって
五感で得られる豊かさを、忘れがちなんじゃないかなって。
それが心の欠乏感につながっているんじゃないかな、なんて思ったりもします。
そんな難儀な現代人に、処方箋の一つとして、とてもシンプルな方法があります。
それは裸足になって、足の裏の感覚を感じてみるということです。
靴を脱いで裸足で草むらの上を歩いたり。
砂浜の上を歩いて、砂の音を味わったり。
海に足の先をつけて、たゆたう波の感触を感じたり。
靴を脱ぐだけで触れられる、心地よくて豊かな感覚の世界が
実はすぐそばにあったりするんですよね。
よかったら、もう一度自然とつながるためのこの方法、試して見てくださいね。
子どもに戻った気分で、裸足で駆け出すなら
地球もきっとその歓喜に応えてくれるはずです。