Page2 「森の入り口」 目の前に美しい蝶がふわっと舞い降りた。 私は蝶を追いかけた。 理由はそれだけ。 全てを捨ててしまいたくて、ただ夢中になって歩いた。 生きることに少し疲れていたのかもしれない、あの時。 森の中には美しい鳥たちが羽を広げ、さえずっていた。 鳥たちの歌声に誘われるようにただ足を進めた。 森の中にいると時間の感覚が変わる。 どれくらい歩いたのだろう? 気がつくと私は、森の奥深くに迷い込んでいた。 いつからか白い猫が一匹、私について来ていた。