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「生きる」

目を覚ますと私は、森の入り口の草むらの中にいた。

どれくらいの時間、この場所で眠っていたのだろう。

柔らかい夢の余韻のような感覚だけが、残っていた。

不思議と心と足取りは軽くなっていた。

「きっと大丈夫だよ」

優しい声がしたような気がして、ふっと振り返ったけど

そこには誰もいなかった。

私はまた自分の足で、前に向かって歩き出した。

見上げた空には、真昼の月が上っていた。

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