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蝶の葬列

海に抜けていく道は

まるで樹々がつくる緑のトンネルのようだった。

少し前に天気雨が降ったのか

道の脇には水たまりができていた。

その水たまりの上に

羽が破れ、力尽きた一匹の蝶が浮かんでいるのを

私は見つけた。

その蝶をまるで弔っているかの様に

数匹の蝶が上空を、クルクルと旋回していた。

それは蝶の葬列のように見えた。

その美しく儚い光景に

目を奪われていた私の耳元で

急に柔らかい声がした。

「彼らにも心があるのよ、私たちと同じように」

振り返るとそこに

一人の女性が立っていた。

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