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探し物

「あなたはこの島に、探し物をしにきたのね。

いいわ、私が島を案内してあげる」

彼女は「マーレ」と名のった。

突然の事にとまどう私には、一切おかまいなしに

彼女はぐいっと私の腕をひっぱると、歩き出した。

島には広大な自然以外、何もなかった。

ただ続いていく一本道。

ただ広がっていく空。

ただ流れていく雲。

マーレの背中を追いかけながら

それを見ているだけで

心がゆっくり解けていくのを感じた。

どれくらい歩いただろうか。

たどり着いたビーチには

ただ穏やかに潮騒が響いていた。

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