「雨上がり」
雨が上がった後の森は
きらきらと光の粒を反射して輝いていた。
雨がつくった川のほとりで時間を忘れた。
川の流れに足を浸すと
穏やかな水流にくすぐられて気持ちがよかった。
水面に木漏れ日が、ゆらゆら揺れていた。
川に流れていく水泡を見ているうちに
子供の頃の記憶がよみがえってきた。
そうそう、笹をこんな風に編んで
舟を浮かべて遊んだ気がする。
私は、近くにあった葉を摘むと
記憶を頼りに小さな舟を作って川に流した。
笹舟は水面に浮かんで、私の手元から離れていった。
自分の内側にせきとめていたものが
笹舟に乗ってすーっと流れ出て行くようだった。